労働人口減少の課題が深刻化していく中、大企業だけではなく、中小企業においても働き方改革を意識した動きがみられるようになってきました。IT企業においては、非エンジニアの教育を含めた採用活動を行い、その他の業界でも、人材に代わる労働力となるRPAやAIなどに興味を持つ企業が増えてきています。
そんな中注目を浴びているのが、手書き伝票などを読み取るまでに進化したOCRの存在です。今回は、現代のOCRの種類や、クラウド型とオンプレミス型の違いについてご紹介していきます。
OCRの種類
OCRは、2つのパターンによって種類分けをすることが可能です。
詳しくみていきましょう。
パターン1:読み取り帳票による種類分け
OCRは読み取り帳票によって、最適なOCRを選ぶ必要があります。
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定型文書に対応しているOCR
フォーマットが決まっている帳票に対応しているOCR。
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非定型文書に対応しているOCR
フォーマットが決まっている帳票ではなく、さまざまなレイアウトに対応しているOCR。
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全文を読み取るOCR
全文をそのまま読み取り、テキストやMicrosoftのOffice文書などへ変換するOCR。
パターン2:OCRの実行環境による種類分け
また、OCRは実行環境によって、以下の2つに分類ができます。
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ハードOCR
ハードOCRは、従来のOCR専用機を利用する方法です。
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ソフトOCR
ソフトOCRは、スキャナとPCなどでOCRを行う方法で、オンプレミス型とクラウド型に分けられます。
それぞれについて具体的な特長とメリットを説明していきます。
定型帳票OCR・非定型帳票OCR・全文OCRの特長とメリット

非定型帳票OCRが注目されている中、定型帳票OCRや全文OCRも進化しており、現代では読み取り機能も強化されています。では、それぞれのOCRには、具体的にどのような特長やメリットがあるのでしょうか。
定型帳票OCR
定型帳票OCRは、大量かつ少ない種類の帳票を取り扱う場合に利用します。読み取る文字の位置が明確であるため、高い精度で文字を認識できます。
たとえば、自社発行帳票など、帳票レイアウトが固定で、種類が少量に限定できる帳票です。
非定型帳票OCR
非定型帳票OCRは、少ない種類の帳票でいくつかのレイアウトの帳票を扱う場合に利用します。たとえば、取引先が発行する請求書など、レイアウト数を限定できない帳票です。
さまざまな帳票を読み取ることができる一方で、読み取り位置を特定する処理がある分、定型帳票よりも読み取り速度は遅くなります。
全文OCR
全文OCRは、文献や資料などの長時間のデジタルアーカイブに適した電子ファイルに変換します。たとえば、資料のデータベース化や検索可能な文書として利用する場合です。
OCRの導入環境の違いとそれぞれの特徴
次に、導入環境の違う2つのOCRについて、それぞれの特徴をみていきましょう。
クラウド型OCR
近年はOCR以外でもクラウド型の製品が多くなってきており、ITツールはクラウド型中心の傾向です。クラウド型は、データ管理などをクラウド上で行うため、専用サーバーを用意したり、管理者を用意したりする必要がないことが特徴です。費用面では、イニシャルコストは安く、ランニングコストが掛かるケースがほとんどです。
オンプレミス型OCR
オンプレミス型は、自社にサーバーを構築する必要がありますが、自社ネットワークを用いたシステムとなるため、情報漏えい対策などがしやすいことが特徴です。費用面では、イニシャルコストが高く、ランニングコストは安いケースがほとんどです。
それぞれ、利用目的や環境に応じて選ぶと良いでしょう。
まとめ
今回は、OCRの種類や導入環境についてご紹介しました。
OCRにはさまざまな種類があり、それぞれ得意・不得意領域が存在します。現代においては、AI-OCRなど人工知能を用いたOCRなどもさまざまな企業で提供されているため、高性能なものがたくさんあります。自社の用途に合ったOCRを選択してください。
長年OCRを研究・開発しているPFUでは、経験と実績をもとに、ペーパーレス化や紙帳票の入力業務自動化にむけた、お客様の業務プロセスの見直し、構築、サポートまでしっかりと実施いたします。